Vol.2 早漏症(PE)じゃない人は何分もつの?

前回のコラムでは、PE(早漏症)の診断基準のなかに、「膣内挿入後、射精までに所要する時間が2分以内」という項目があることをお話ししました。医学的な基準のことはさておき、確かに2分以内に性行為が終了してしまうのは些か短い感があります。そこで次に湧いてくる疑問として「では、いったい何分ぐらい性行為が持続できたら十分な長さと言えるのか」という疑問が挙げられると思います。この疑問については過去に世界5か国で調査をした研究報告があり、大変参考になります。

A five-nation survey to assess the distribution of the intravaginal ejaculatory latency time among the general male population. J Sex Med. 2009 Oct;6(10):2888-95.

表題を訳しますと、「世界5か国における一般男性の膣内射精時間の分布調査」となります。
オランダ人精神科医、Waldinger博士らは、上記の研究論文の中でintravaginal ejaculation latency time :IELT(膣内に挿入してから射精するまでの時間)を各国でアンケート形式で調査、または直接ストップウォッチで測定して集めた結果を報告しています。
オランダ、スペイン、イギリス、トルコ、アメリカの5か国で合計474人の一般男性を4週間にわたって追跡調査した結果、5か国の平均IELT(膣内に挿入してから射精するまでの時間)は6.0分だったそうです(最短は6秒、最長は52.1分だったと報告しています)。
また、国によってIELTの平均値は異なり、最短がトルコで平均4.4分、最長がイギリスで平均10.0分だったと報告しています。
残念ながら、日本はこの研究には含まれていませんので日本人のIELT平均値を知ることはできませんが、膣内挿入から射精まで概ね6分程度であれば世界的にみて平均的と言えるでしょう。ちなみに、平均IELT6.0分という値は途中で休憩をしたり、膣外に抜去するなどの意図的な性刺激中断をすることなく、性行為を継続した場合の値ですので、実際の性行為の所要時間とは必ずしも一致しません。
また、この研究ではコンドーム使用の有無や包茎手術の施行についても調査していますが、手術やコンドームによってIELTは変わらないと報告しています。

PE患者がプリリジーを服用することでIELTは3~4倍に延長することが知られていますので、もし膣内挿入後1~2分程度で射精してしまうようなPE症状であったとしても、プリリジー服用によって4~6分程度までは射精時間の延長が期待できます。
IELTが4~6分というのは上記5か国の男性の平均値と遜色ない値であるうえ、さらに実際の性行為では休憩や中断を挟むことでIELTのさらなる延長が期待できます。平均的な男性と同等にまで改善したという認識を持つことで、本人の自尊心の回復、パートナーとの対人関係や、精神的苦痛の改善といったことにもつながりますので、IELT6分という値はPE治療における一つの目標値となります。